まかいの牧場ウール工房　『ウール倶楽部』

４月2日（金）、3日（土）、ウール倶楽部が開催されました。
新型コロナウィルス感染再拡大の動きは東京以外でも加速、大阪、兵庫、宮城には4月5日から１ヶ月間の「まん延防止措置」が適用されることになってしまいました。しかし、季節は春。桜が開花し、羊さんは出産ラッシュの時なのです。今回も倶楽部への出席者は少なかったのですが、春爛漫の中、羊毛に癒やされながら、ひと時の穏やかな時間を楽しみました。

牧場から見た今日の富士山。太宰　治は「富嶽百景」の中で「富士には月見草がよく似合う」と書いていますが、霞けむる春の富士山をバックに咲き誇る桜もよく似合います(*^_^*)


入場口にも桜、場内にも桜、桜、桜、、、、

　

桜の下、お馬さんにも恋の季節がやってきました。


ウール倶楽部の本拠地、森の家の周辺は桜のトンネル。


さて、今月からいよいよ「コルモ・アルデンティーノの汚毛から糸作り」の実践です。
今回はその第一歩、ソーティングやスカーディングから始めます。因みに、ソーティングは部位毎に分けること、スカーディングは裾物等の汚い部分を取り除くこと。ソーティングは織り用糸を紡ぐ際に行うことが多いようです。

汚毛を広げ、先生のご指導を受けながら、汚れのひどい背の部分を除くなどスカーディングを行い、次に部員の人数分に分けました。汚毛から糸にするまでの作業を各自で行うためです。ここまでの作業を金曜日に終えました。

　

さあ、いよいよ各自で作業開始です。
洗う前に自分の汚毛を掃除し解く作業に着手。ちょっと手間なのですが、こうしておくとカードをかける際も楽ですし、綺麗に仕上がります。しかも、カード機も傷みません。
汚毛は１人300g弱。解しが終ったら洗い、カードかけ、糸紡ぎと進みます。最終的に何グラムの糸ができるかお楽しみ♥


糸には梳毛糸と紡毛糸があります。梳毛糸とは刈り取った羊の原毛を繊維の流れに沿って一定方向に梳き、繊維の長い向きに対して水平に紡いた糸のことで、市販の毛糸はほとんど全てが梳毛糸です。これに対し、紡毛糸は繊維の方向も長さも一定ではなく繊維に対して直角に紡いだ糸です。梳毛糸に比べてフワフワして暖かいのが特徴ですが、紡毛の双糸は市販されていません。
イギリスの伝統ニットでは縮絨しやすい紡毛糸を使って編まれています。編み上がった作品を縮絨して繊維をからませることで風を通さないニットに仕上げ、寒い気候の中で防寒性を高めています。梳毛糸で編まれたニットは表面が滑らかで縮絨しにくいです。ウール倶楽部ではこの紡毛糸を紡いで作品を作ります。
以前紹介しましたが、まかいの牧場では珍しいコルモ・アルデンティーノ（通称メリコリ）という羊を飼育しています。この原毛をいただき、汚毛から糸作りまでの工程を実践で学ぼうというのが今回の課題です。新入部員にとっては初めての体験ですが、ベテランの部員にとっては全てが復習になり、大変有意義な取り組みです。
貴重な羊の原毛を使って手軽にこうした作業ができるのは、牧場のスタッフの皆さんのおかげです。いつもお世話になり、有り難うございますm(_ _)m

珍しいと言えば、こちらのチェビオットとコリデールの交配種も珍しい羊です。橋本先生がその原毛を紡いで下さいました。
特徴はシェットランドを少し固くしたような感じ。触ってみると、コリデールの糸よりしっかり感、シャリ感というか張りがあるような気がしました。毛足はちょっと長めですが、単糸を紡いでいる時はモヘヤっぽい感触だったそうです。この珍しい交配種は正式に世界で認定されていないため、残念ながらハーフブレットとは言えないそうです。



ウール倶楽部が開催された4月3日、大阪では過去最高の666人、全国では2773人の新型コロナ感染者が確認され、日毎にその数は増えています。国民の多くにワクチンが届くまでは、各自が感染防止の基礎的な対策をしっかりするしか方法はありません。もう一息、頑張りましょう。