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2021年08月08日

8月は夏休みです

8月は夏休みのため倶楽部は休部と致します。

1日あたりの新型コロナ感染者数が8月5日には初めて1万5,000人を超え、増加傾向は全国的なものになってきました。こうした中、東京、沖縄、埼玉、千葉、神奈川、大阪の各都府県では8月31日までの緊急事態宣言。北海道、京都、兵庫、福岡、福島、茨城、栃木、群馬、静岡、愛知、滋賀、熊本などにはまん延防止等重点措置が発令され、ここ静岡も実施区域に入ってしまいました。
オリンピック東京大会は本日(8日)幕を閉じようとしています。
個人的な賛否は別にして、最初から躓きだらけのオリンピックでしたが、アスリートの真剣な競技風景には心を揺さぶられるものがありました。何はともあれ無事終了できることにひと安心です。パラリンピックも何事もなく開催されますように。
日本ではこの後、お盆休みに入ります。昨年同様、コロナ禍の中で迎える夏休み。楽しいはずの季節はどこに行ってしまったのでしょうか?
新型コロナは人々の生活に大きな変化と影響を及ぼしています。

こうした重苦しい状況をほんのひと時でも忘れたいという思いで、興味深いトピックスをご紹介します。

馬飼野牧場には通称メリコリという珍しい羊がいて、このメリコリちゃん、実はなかなの羊だったということは以前ご紹介しました。


Cormo(コーモ又はコルモ)という羊は1960年代にオーストラリアのタスマニアで、客観的且つ厳格な選択基準を設けた科学的繁殖プログラムの下、コリデール(Corriedale/牡)とサクソン・メリノ(Saxon Merino/牝)とを交配してできた羊の品種です。血統的にはリンカーン1/4、オーストラリア産メリノ1/4、サクソン・メリノ1/2となります。
Cormoという名称は両親のCorriedale(コリデール)とMerino(メリノ)の名前から命名されました。英語ではコーモ、スペイン語ではコルモと発音するようです。
額は広く顔面には羊毛が生えておらず、目を塞ぐことはありません。柔らかで高密度のフリース、直径18~23ミクロンの繊維、成長が早く出生率も高い、放牧能力も高く管理しやすいのが特徴です。
後にアルゼンチン、中国、米国、イタリア、ベルギーなどにも輸出され、それぞれの国で独自の進化をとげています。
アメリカに渡ったCormoは既存の米国産羊と交配され、更に商業的メリットの大きいAmerican Cormo(アメリカン・コーモ)に進化。そのフリースは米国内のウールショーでも高い評価を得、上質なウール品種として注目されています。特に、ハンドスピナーに人気上昇中の羊毛です。
また、アルゼンチンに持ち込まれたコルモは、ペピン・メリノ(Peppin Merino)とコリデール(Corriedale)、ポール・メリノ(Polled Merino)やブールーラ・メリノ(Booroola Merino)、ベッデイル(Beddale)なども加えられ、8世代18年間もの年月をかけて交配を繰返しCormo Algentino(コルモ・アルゼンチーノ)が誕生したそうです。

ところで、馬飼野牧場の通称メリコリ。
これは紛れもなく神様の贈り物と言うしかありません。

牧場にはメリノが1頭しかいませんでした。そこで交配相手にコリデールを選びました。その結果誕生したのが、このメリコリでした。
何か運命的なものを感じてしまいます。
そして、ある日、気がついたのです。
「これってCormoなんじゃない?」
コリデールよりメリノに近い細くて柔らかな毛質。顔には羊毛がかかっておらず、角もありません。

オリジナルの血統からは外れますが、コリデールとメリノの交配種であることに間違いはありません。
そんなわけで、私達の通称メリコリちゃんは
「コルモ馬飼野」と命名されることになりました。
ウール倶楽部員は今年、「コルモ馬飼野」の羊毛の紡ぎにトライし、作品作りに励んでいます。

馬飼野牧場には角が有る絶滅危惧種の「マンクス・ロフタン」、顔と脚が黒い「サフォーク」、羊毛に独特のシャリ感がある「チェビオット」、「コリデール」など様々な羊が見られます。
特に、「コルモ馬飼野」は他所では見られない特別な羊。
牧場にお越しの際はこれら沢山の羊達の中から、「コルモ馬飼野」を探し出し、体駆や毛質などの違いをご覧になって下さい。

毛刈りが済んで、すっかり春夏仕様になった「コルモ馬飼野」

「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」が終了する8月31日までには感染拡大が落ち着き、9月からは穏やかな日常を取り戻すことができますように。

(Cormoの説明についてはWikipedia、Mason's World Encyclopedia of Livestock Breeds and Breeding、American Cormo Sheep Associationの資料を参考にしました。)  

Posted by woolclub at 15:30
倶楽部活動

2021年08月01日

2021年7月 2度目のウール倶楽部の近況報告

7月2回目のウール倶楽部を30日(金)、31日(土)の両日開催しました。
倶楽部では新型コロナワクチンを2回接種している人が多いため、感染対策をしっかりしての開催です。しかし、東京都での感染拡大の流れは留まるところを知らず、感染者数は31日にはこれまでにないスピードで過去最高の4,000人を突破。緊急事態宣言の埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県への拡大も決定されました。複雑な心境の中での開催でしたが、4ヶ月ぶりということもあり、染色や先生の講義など賑やかな2日間を楽しむことができました。

先ずは4ヶ月ぶりの講義。
ソーシャルディスタンスとマスクで感染対策をしっかりとっています。

久々に先生の作品を見せていただきました。
いずれも、牧場にいる通称メリコリの単糸で編んだショールで、左は75g、右は58g使用です。
 

こちらはそのメリコリの単糸。Tさんの作品です。まだまだ紡ぎ初心者のTさんですが、とても綺麗に紡げています。

進行中だった橋本先生のカーディガンが出来上がりました。

このセーターには幾つか編み方のヒントがあります。
まずは柄の入れ方で見られる2通りの工夫。
1.裏糸が渡らない編み方:編むのは大変ですが綺麗な仕上がり
2.裏糸が渡る編み方:糸はつり易いが、編むのは簡単
また、カーディガンの襟と前立ての編み方の工夫にも注目。
前立ては別に編み、先に前立てを綴じてから柄合わせをして、前立ての残りと襟を編むという方法で仕上げたそうです。
なるほど、こうすれば襟と前立ての柄を合わすことができるんですね。


今回のカリキュラムの一つは葉緑素パウダーでの染色。休みが長かったので、久々の染色です。
1染、2染を2つの鍋を使い同時進行で染色しました。どちらも1染目。とても綺麗なグリーンに染まっています。
 
 
こちらは2染目。
1染目に比べ、グリーンが薄くなりましたが、ニュアンスのある淡いグリーン。これはこれで素敵です。

染め上がった羊毛は解してから干します。綺麗に解すのは大変な仕事ですが、後でカードをかける時に楽ですし、カーダーへの負担も軽くなり針の劣化も防げます。




2日間の倶楽部、あっという間でしたが、濃密な時間をすごすことができました。
まだまだ暑さが続きます。熱中症やコロナに負けず無事に9月を迎えることができますように。

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31日の朝刊に、コロナの症状をめぐる医者と一般人との認識のズレについての記事が載っていました。
* 一般人のイメージ:
  軽症「全然平気・風邪程度」、 
  中等症「息苦しさは出そう」、 
  重症「入院は必要」
* 医師の認識:
  軽症「酸素は要らない」、 
  中等症「肺炎が広がり、多くの人にとって人生で一番苦しい」、
  重症「助からないかも」
軽症という言葉の響きに惑わされ、甘く考えてはいけないということです。
ワクチン接種が済んでも100%感染しないわけではありません。
以前のような普通の生活が1日も早く戻って来るよう、認識を新たに、1人1人が感染拡大を防ぐ努力を心がけましょう。  


Posted by woolclub at 11:05
倶楽部活動